(※この記事は、シリーズ「医学部医学科の合格者に告ぐ。」の一部です。)
前回は、医学部在学中は「研究」要素は案外少ないよ!というお話をしました。
この記事では、じゃあ医者って研究するの?ということにお答えしていきたいと思います。
必ずしも下記の通りではありませんが、筆者の知る限りを紹介します。
まずは一人前の医師に
医学部は職業訓練校的な要素が強く、
- 卒業論文ではなく卒業試験(一般的な知識優先)
- 研究室配属ではなく臨床実習(医師としての技能優先)
という色は否めません。世の中に「医師」と呼ばれる職業の人たちを輩出するわけですから、大いにうなずけることです。
この傾向は医学部卒業後も、少なくとも数年以上は継続します。
というのは、医学部を卒業したところで青二才のペーペーで、臨床経験にはやはり乏しく、1人で「それなりの診療ができる」という状態に至るにはまだまだ修練が必要だからです。
医学部卒業後2年間の初期研修を終えないと制度上も「一人前の医師」とは認められないため、研究医を志望する人も、医学部卒業後少なくとも2年間は臨床の場で働く方が多いように思います。
加えて、たった2年間の「研修医生活」で一人前になれるとも言い難く、多くの方がその後自分の専門としたい診療科において一人前になるための修練を開始するのです。
いわゆる「専門医」を取得し、一応「一人前の〇〇医」と認定されるには、医学部卒業後最低5年以上は必要になります。
やはりその段階に至るまでは、どうしても医学の研究的な側面より、医療現場における実務的な手技や、様々な臨床知識を得ることが最重視されます。
大学院へはいつ?
一般の大学では、学部卒業後すぐに大学院へ進学することが普通かと思いますが、医学部はこの点で少々異なります。
というのは上述の通り、卒業後の一定の期間は臨床能力を高めることに重点が置かれるからです。
したがって、大学院進学は医学部を卒業後結構後のことになります。
具体的にいつなのかは診療科や各医局によって異なると思いますが、やはりそれなりに臨床医として働けるようになってからという印象です。
実際、自分が専門にしたい分野のテーマなんて、自分がその現場に身をおいてはじめてわかることだと思います。「こっちの薬を使ったほうが成績がいいんじゃないか?」とか、「この治療、まだわからないことが多いけど、こういう分子機序で効いているんじゃないか?」とか、そういうことを考えられるようになるのって、やはりそれなりに働けるようになってからなんですね。
大学院での研究テーマは上記のような個人の学問的興味のほか、自分が所属する機関での仕事を引き継いだりなど様々な要素によって決定されると思いますが、これら研究を行って論文を書き、「医学博士」を取得する頃には、医学部を卒業して結構時間が経った後のことになるのです。
まとめ
簡単ではありますが、医師✕研究について紹介しました。
上記は最も多い医師の属性である「臨床医」が、一般的にどのように研究に関わるかを紹介したものです。
もちろん、最初から「研究医として働きたい」という願いがあり、学部卒業後または初期研修終了後にすぐ研究室に通う方や、上記以外の流れをとる方もいらっしゃいますが、ある程度は参考にしていただけるかと思います。
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