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医学部卒後の進路について【研修医から新専門医制度まで】

医学部
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(※この記事は、シリーズ「医学部医学科の合格者に告ぐ。」の一部です。)

今回は、医学部卒業後に医師としてどのような道を歩むことになるのかにフォーカスを当てたいと思います。

医学部に入学される方だけでなく、医師を目指す中学生・高校生にも参考となるように紹介していきます。

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医学部卒業後の主な流れ

医学部卒業後の医師としてのキャリアを時系列に沿って紹介していきます。

医学部卒業・医師国家試験合格・医籍登録

日本で医師として仕事をするためには、無事に医学部を卒業すること、医師国家試験に合格することが必要になります。

また、国家試験に合格するのみでは医師とは認められず、「医籍」に登録することになります。医師版の戸籍登録みたいなものです。

実は、制度上「医師」が開業する場合には、後に述べる専門医の取得の有無に関わらず、何科を標榜しても良い(=名乗っても良い)ことになっています(※)。

つまり、特に専門医を持っていなくても、医師として認められればどの診療科の診療を行っても良いのです。

そのため、医師国家試験では、全ての診療科の知識が出題範囲となります。

(※麻酔科を名乗るためには、トレーニングの上で「麻酔科標榜医」という資格が必要です。)

初期臨床研修=研修医

医学部を卒業し、医師国家試験に合格して、「医師」を名乗り、全ての診療行為ができるからといって、諸栓は数ヶ月前まで学生だった初心者です。

そこで、医師法により、卒業後は2年間の初期臨床研修を行うことが義務付けられています。

いわゆる「研修医」を2年間やるということです。「研修医」を学生インターンみたいな存在と間違える方もいらっしゃいますが、制度上は医業を行うことが公に認められた立派な「医師」です。

昔は1年目から自分の志望する診療科に飛び込んで研修を行っていたのですが、やはり医師たるもの各科に渡って幅広い知識・技能が必要であろうということで、現在は2年間で多くの診療科をローテートして研修することが義務付けられていて、数カ月ごとに色々な科で診療に関わりながら研修することになります。

2年間の研修が修了すると、「初期研修を修了した医師」として再度医籍に登録することになります。

医学部における就活とは、この初期臨床研修を実施する病院を探し、採用されることを目指すことです。

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大学病院や大学病院と関連の強い病院へエスカレーター式に採用される以前の仕組みとは異なり、現在は「マッチング」によって制度上広く研修病院を選べるようになりました。

研修医の段階で「大学医局」に所属している医師はほとんど存在しないでしょう。

後期臨床研修=専攻医

卒後3年目からは、いよいよ自分が志望する診療科に身を埋めることになります。

良く「後期研修医」とか「専攻医」とかいう呼ばれ方をします。(今後は後に紹介する新専門医制度の運用上、「専攻医」という呼び名が定着しそうです)

あまり知られていないのですが、2年間の研修が終わった後、3年目以降も一応は後期「研修医」という立場なんですね。

2年間の初期研修を経てある程度診療上の戦力となることができるようになっているので、初期研修医に比べればかなり頼りがいのある医師という印象を受けます。

後期研修の期間は、志望する科によってまちまちで、少なくとも3年以上です。

「専門医」と名乗ることのできるだけの経験を積むことが求められ、多くの場合、専門医と認定されるための試験も存在します。

つい最近までは、各学会ごとに基準を設けて「専門医」という仕組みを維持していました。

例えば救急科専門医は「日本救急医学会」の求める各疾患の診療し、その症例を報告し、さらに学会の求める手技の経験回数等を満たした上で、試験に合格することで日本救急医学会の認める「救急科専門医」となることができました。

したがって、自分の努力次第では、複数の学会の求める基準を満たせるように診療に関わることで、同時並行で複数の専門医資格を取得することも可能だったのです。

ところが、「専門医」のあり方を見直す動きがつい最近あり、「新専門医制度」として運用が開始され状況が変わってきました。

具体的には項を改めて紹介したいと思います。

新専門医制度ってなに?

簡単に言えば、「従来学会ごとに自由に定めていた「専門医」の基準について、各診療科統一して管理するようにしよう」というイメージの制度です。

先程述べたように、従来の専門医制度では、一人の医師が、あっちの学会でもこっちの学会でも「専門医」を取得することが可能でした。

これを病院やクリニックの看板とすることも許可されていて、患者さんを集める看板にもなるということで、複数の領域で専門医を取る風潮にさらに拍車がかかりました。これでは確かに「専門医」って何なんだということになりかねません。

各学会に任せていた「専門医」の制度の質を担保するためには、確かにその制度を一つの機関に集約・統一するというのは合理的な考え方です。

 

新専門医制度は19の「基礎領域」と、各基礎領域と関連する「サブスペシャリティー」からなります。

基礎領域=内科、小児科、皮膚科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、脳神経外科、麻酔科、放射線科、病理、臨床検査、救急科、形成外科、リハビリテーション科、総合診療科

例えば、「救急科」は一つの基礎領域なのですが、救急科を専門とする医師の中にも、外傷、中毒、集中治療、災害などなど人によってつきつめていく領域が異なります。これが「サブスペシャリティー」にあたるわけです。

他の例として、内科のサブスペシャリティーには循環器、消化器、内分泌、・・・などがあります。

このサブスペシャリティーについてはまだはっきりと決まっていないことも多く(まだ新専門医制度で基礎領域の専門医を取得した世代が存在しない)、今後制度が確立されていく予定です。

新専門医制度では、各大学・病院が「うちの〇〇科の専門医の教育プログラムはこのようなものになります」と専門医機構に申請し、OKを貰えれば「専攻医プログラム」として認定され、研修医を募集できる仕組みになっています。

 

医師側も、その「プログラム」に則って研修を行う必要があるため、従来のように各学会に申請すれば同時に複数の専門医を取れる、という状況ではなくなったわけです。

また、このプログラムを提供してくれる大学や病院を探し、応募し、採用されるというプロセスもまた必要で、やはり就職活動に近いことをしなければなりません。

この後期研修=専攻医プログラムの段階から各大学の医局に所属する医師も存在しますし、そうでない医師も存在します。

専門医取得後

専門医の資格を得てはじめて、「研修中」という看板を取り払うことができます。(もちろん学ぶことはまだまだ多いのですが)

この後に、「研修医」ではなく、「スタッフ」としての働き口をまた探すことになります。

大学医局に所属している場合は、その関連施設に勤務することが多いですし、専門医プログラムを実施した病院に残って「スタッフ」として採用される医師も少なくありませんが、専門医取得後もやはり競争原理が働きうる機会は存在するということです。

「スタッフ」として採用された後の流れは各医局や所属施設に依存することが多いですが、やはりまだまだ研鑽の必要な立場であることは変わりありません。

大学院へはいつ行くのか?

通常は、

  • 大学(学士過程)4年間→学士
  • 大学院(修士課程)2年間→修士
  • 大学院(博士課程)4年間→博士

という流れが一般的ですが、6年制の医学部を卒業した後は、直接博士過程に進学することが認められています。

したがって、医師の言う「院へ行く」とは、博士課程に在学することを指します。

大学院へ通うタイミングは初期研修を終えた後とか、後期研修を終えた後とか、さらにその後とか、様々です。

このタイミングも、所属する医局や病院の方針、自分の専門とする診療科の性質の影響が強い場合が多いですが、「学部卒業後○年目に通わなければならない」という決まりはありませんので、基本的には自分で決めることになります。

また、研究への探究心が強い方を中心に、学部卒業後に初期研修を行わず、そのまま大学院へ進学して「医学博士」を取得し、それから臨床現場に出るという流れもあります。「MD-PhDコース」と呼ばれることが多いです。

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まとめ

「専門医」としてある程度「一人前の医師」と認められるまで結構時間がかかることがおわかり頂けたと思います。

医師になったからといってホイホイと仕事が舞い込んでくるわけでもないし、食いっぱぐれないわけでもないのです。

一人前の医師として仕事ができるようになるためには相応の努力が必要です。

また、日本人の人口が現象の一途をたどる一方で、医学部の入学定員は横ばいどころか増える傾向にあります。いずれ「医者余り」の時代が来ることは想像に難くありません。

医師として生き残るためには在学中・卒後にしっかり勉強しなければなりませんね。

(※この記事は、シリーズ「医学部医学科の合格者に告ぐ。」の一部です。)

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