「2023年問題」
日本の医学部に通われている方、目指されている方なら一度は耳にしたこともある言葉かもしれません。
また、今後日本の医学部で学び、米国で医師として働こうと考えている人にとっては死活問題です。
今回はこの「2023年問題」と日本での動きについてざっくり説明します。
日本人が米国で医師になるには?
詳細は、上記記事をご覧頂くと良いと思いますが、端的には、
- ECFMG=海外の医学部を卒業した人を米国国内で医師として研修させることについて、色々な便宜を図っている機関
- ECFMG certificate=米国以外の大学で学んだ卒業生が、米国で臨床研修を行う為の資格(いわゆる医師免許)
- USMLE=ECFMG certificateを取得するために合格しなければならない試験
ということです。
つまり、日本人が米国で臨床研修を行おうと思った場合、
- ECFMGに「ECFMG certificateが欲しいです!」と申請する。
- USMLEの各ステップを受験し、合格する。
というプロセスを経て、「就職活動(米国でもマッチングと呼ばれます)」に突入する必要があるのです。
日本の医学部で臨床実習期間が伸びているワケ
この一連のプロセスですが、従来ならば
「ECFMG certificate欲しいです!USMLE受験させてください!」
と日本人が申請した場合、
「あぁ〜君は日本という国に認められた医学部に通っている(または卒業している)のね!オーケーじゃあ受験資格あげるよ!」
という具合で、ほとんど無条件にUSMLEを受験することができました。
そしてUSMLEの各STEPを突破すれば、ECFMG certificateを取得することができたのです。
ところが、最近になって、ECFMGがこんな声明を発表したのです。
「2023年からは、ECFMG certificateの申請&USMLE受験は、我々米国サイドから見て十分な教育水準にある医学部の在学生or卒業生に限って認めることにするよ〜」
これが「2023年問題」です。
よく考えれば当然のことで、ECFMGは米国の医学水準を担保するため、自国に流入してくる外国人医師に、相応のクオリティを求めたのです。
ところがどっこい、日本の医学部としては、「うちの医学部を卒業しても、米国で研修できる道はないんだよ〜」なんて言いたくありませんから、死活問題な訳です。
外国の医学部のクオリティを審査して、米国の視点で認可するかしないかを決める機関が「WFME」と言うそうです。
現在、2023年以降も世界で活躍する医師を育てることができるよう、日本の医学部はこぞってWFMEにアピールを行っています。
この一環として、臨床実習の内容を改善したり、期間を伸延したりしているのです。
遊びたいざかりの学生にとってはちょっと辛い話ですが、日本の医学水準向上のためには必要なことですし、これを機に日本の医学部の臨床実習が学生にとってより実践的・効果的なものになることを期待しましょう。
<追記>
2023年問題については以下記事も御覧ください。
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