USMLEの概要

USMLE
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※この記事はシリーズ「USMLE STEP1 合格体験記」の一部です。

本題の「USMLEとはなにか!?」ということにフォーカスしていきます。

USMLEの対策法を調べていると、「ECFMG」、「NBME」、「プロメトリック」などなど色々な名前が出てきます。この整理にも役立ててれば幸いです。

なお、米国の医学教育・医師養成課程の知識が必要ですので、是非以下の記事も読まれることをおすすめします。

日本と米国の医師養成制度
※この記事はシリーズ「USMLE STEP1 合格体験記」の一部です。 この記事では基礎知識として日本と米国での医学教育・医師養成課程の相違点をまとめます。 日本で医師になるには・・・? ま...

 

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USMLEってなに!?

USMLEは「The United States Medical Licensing Examination」の略です。

「米国医師国家試験」と訳されることが多いようです。

日本において、「医師国家試験」に合格したのみでは医師として働くことはできず、厚生労働省を通じて医籍に登録して初めて「医師」を名乗ることができます。

同様に、米国においても、州ごとに付与される「医師」の資格を得るためには、USMLEの4つの試験(後述)に合格しておくことが必須です。(州により細かい相違は存在します。)

受験資格

現状、日本の医学部の在学生・卒業生であればUSMLEを受験することができることになっています。ところが、今この権利が揺らぎつつあります。これが俗にいう「2023年問題」で、簡単に言えば米国が「このままの医学教育では日本の医学部・医大を卒業しても、うちの国の資格試験は受けさせない、つまり医師にはさせないよ」とうメッセージを投げかけているところです。これを回避するため、各大学の実習期間の延長等が図られつつあります。

医学部2023年問題ってなに?
「2023年問題」日本の医学部に通われている方、目指されている方なら一度は耳にしたこともある言葉かもしれません。また、今後日本の医学部で学び、米国で医師として働こうと考えている人にとっては死活問...

各試験の特徴

  • STEP1及びSTEP2 CKはCBT(Computer Based Test)であり、基本的にはマルチプルチョイス形式の問題です。
  • STEP1及びSTEP2 CK・CSは一斉実施を行っておらず、試験日は自分で決定できます。
  • 試験は「プロメトリック」という機関によって運営されています。これは問題を作成したり、合否を決定する機関とは異なり、試験の運営のみを受託している機関です。受験者はプロメトリックのテストセンターに赴いてUSMLEを受験します。日本ではSTEP1及びSTEP2 CKを東京または大阪のプロメトリックで受験することが可能です。
  • 問題はNBME(National Board Of Medical Examiners)が作成しています。

各試験の特徴を以下に示します。

USMLE STEP1

米国の医学生はメディカルスクールの2年目で受験することが多いようです。

日本の医学生に照らし合わせるとCBTに当たるでしょうか(そもそもCBTはSTEP1を参考にして作られているとの噂もあります)。ただし以下の通り内容は大きく異なります。

試験内容としては大まかにいえば「基礎医学」、つまり、生化学、生理学、解剖学、細菌学、免疫学、薬理学、発生学などなどの医学部低学年で履修する科目です。一日がかりの試験となります。

問題は「23歳の既往歴のない男性がERにやってきました。」などという文から始まるようないかにも臨床を意識した出題で始まり、「この薬の機序はどれか?」という問で終わるような感じで、臨床現場をイメージさせつつ基礎医学の知識を問う形式となっています。

受験者の得点を標準化する計算(詳細は不明)によって得点が算出され、一定数以上の得点を取ることができれば合格となります。

STEP1の得点は、マッチング(研修病院の決定)において、STEP2を凌いで最も重要なファクターの一つとされています。

USMLE STEP2 CK(Clinical Knowledge)

米国の医学生はメディカルスクールの4年目(最終学年)で受験することが多いようです。

日本の医学生に照らし合わせると研修医となる直前に受験するという点で医師国家試験に該当する位置づけでしょう。

試験内容としては「臨床医学」です。内科学、外科学、婦人科学、産科学、小児科学、救急医学・・・といった領域が出題範囲となります。主に医学部高学年で履修する科目です。こちらも一日がかりの試験となります。

出題文章はもちろん臨床Basedで、問題はSTEP1と異なり、「次にすべきことはどれか」、「診断はどれか」、「治療はどれか」といったより臨床志向の問です。

得点の計算方法はSTEP1と同様です。

USMLE STEP2 CS(Clinical Skill)

米国の医学生は、STEP2 CKと同じくメディカルスクールの4年目で受験することが多いようです。

試験内容としては語弊を恐れず言えば超絶クオリティの高い「お医者さんごっこ」です。その点では日本の医学部4年前後で受験する「OSCE」と似たものが想像されますが、中身は大きく異なります。

「患者の基礎情報を読み、患者を診察室に呼び入れ、問診・身体所見をとり、アセスメント・プランを決定し、カルテに記載する」というプロセスを1日に何例か行います。英語力もここで評価されます。

受験地は米国の定められた場所となり、近場ではグアムでも実施されています。

USMLE STEP 3

USMLE最後の試験です。多くの州でSTEP 3までの合格を医師資格付与の条件の一つとしています。STEP 3取得は研修医となる上では必須とはされておらず、前の記事でも紹介したように、研修医となってしばらくしてから受験することがほとんどのようです。

日本と米国の医師養成制度
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日本の医学生が米国の医師養成の流れに乗るには?

先述の通り、日本の医学生はUSMLEに合格しただけでは米国で医師になることはできません。

ECFMG certificate

ECFMG(Educational Commission For Foreign Medical Graduates)は、平たく言えば北米のメディカルスクール出身者以外の研修医資格について取り扱う機関です。

日本人が米国でインターンやレジデンシーに参加するためには、この機関が発行する「ECFMG certificate」を取得する必要があります。USMLEを受験する最大の目的のひとつがこの資格の取得です。

ECFMG certificateはUSMLE STEP1、STEP2 CK、STEP2 CSの3つに合格した者に与えられます。この3つの試験はどの順序で受験しても良いことになっていますが、最初の試験を受験してから7年以内にすべてのSTEPを受験することが求められる他、一度合格した試験は再受験することができません。スコアが悪くても一度合格すればそのスコアを自分のスコアとしなければならないということです。

まとめ

以上、簡単ではありますがUSMLEの概要をお伝えしてきました、

つまるところ、USMLEとは試験の名前であって、資格ではありません。単に合格するのみや、USMLEの一部の試験に合格しただけでは米国へ渡って医師となる資格は得られません。

日本の医学生が米国で臨床をするためには「ECFMG certificate」を取得する必要があります。

しかし私は、USMLEに向けて勉強する目的、これに合格することの利点は「ECFMG certificate」や米国臨床留学のためだけではないと考えています。

そういったことについて次以降の記事で記していこうと思います。

 

以上、追加説明のご要望等があれば是非コメントをいただければと思います。

 

(※この記事はシリーズ「USMLE STEP1 合格体験記」の一部です。)

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