※この記事はシリーズ「USMLE STEP1 合格体験記」の一部です。
今回は、米国の医学生にとってスタンダードな勉強法で、日本のUSMLE受験生も学習に取り入れているFirecrackerについて紹介します。
USMLE対策用のサービスではありますが、医学を英語で勉強したい方にもオススメです。
Firecrackerってなに?
基本コンセプトは、
「複数のソース(教科書、インターネット、問題集など)に散らばりがちな受験生の知識を一箇所に集約し、これらを記憶をアシストするまとめノートつき小問集」
といった感じでしょうか。
利用している受験者とそうでない受験者では、以下のような差があると公表されています。
- 利用者のUSMLE STEP1平均スコア:242.9
- 非利用者のUSMLE STEP1平均スコア:229.44
その差約14。STEP1のスコア平均は230程度ですので、「平均を上回るか下回るかに直結する問題集」と言えるでしょう。
Firecrackerの機能は以下の4つに大別されます。
- Library(知識まとめページ)
- Daily Task(問題集:一問一答)
- Patient Case(問題集:症例問題)
- Self Assessment(模試)
順番に紹介していきます。
Library(知識まとめページ)
「STEP1の各出題分野ごとに、小項目(疾患など)に分かれたまとめのページです。
日本でいうところの「Year Note」や「レビューブック」とイメージが似た機能です。
First Aidに比べると図表は少なめではありますが、USMLEの出題範囲をしっかりカバーしてあります。
このLibraryでは、各項目について以下のように自分の学習ステータスを登録する仕組みになっています。
- Urgent:現在勉強している範囲のうち、今特に頑張りたい分野。
- Current:現在勉強している範囲。
- Past:既に勉強した範囲。
学習ステータスが登録された範囲については、後述するのDaily Taskの出題範囲となり、Urgent>Current>Pastの優先度で毎日一問一答問題集が生成されるようになります。
ちなみに、このまとめページ、STEP1対策のバイブル「First Aid」との対応もポイントです。各項目について、First Aid(最新版だけでなく過去版も!)の対応ページが記載されており、簡単に参照できます。First Aidは他社だと思うのですが、太っ腹です。
ちなみに収録されている項目数はSTEP1で1178、STEP2 CKで993 にのぼります。
Daily Task(問題集:一問一答)
Daily Taskは学習者それぞれに応じて毎日出題される小問(クイズ)集で、Firecrackerの本体と言っても過言ではありません。
問題数は1万問以上に登ります。
利用者の記憶・習熟度や学習希望領域に応じて優先順を算出し、毎日出題されます。
具体的なアルゴリズムは筆者も理解していないのですが、大まかに以下の仕組みにより優先的に学習すべき問題を出題してくれるようです。
↓↓↓↓↓
上述のように、Libraryの各小項目には学習者のステータスが登録されています。
このステータスに応じて(Urgent>Current>Pastの優先順で)各項目から一問一答の短い問題が毎日出題されるようになるのがDaily Taskです。
問題は、上述のLibrary(知識まとめページ)と関連しており、ここから出題されます。
各設問に自分の心で解答し、「Show the answer」をクリックすると、解説が表示されます。
これを読んで復習しつつ、その問題がどれくらい自分の知識に定着していたかに応じて1〜5の5段階で設定します。
結果、次以降のDaily Taskは
- 各Library項目のステータス(Urgent>Current>Pastの優先順)
に加えて、
- 各問題の定着度評価(5段階)から算出される忘却リスク
を考慮して優先度を計算し、自動的に出題してくれるのです。
↑↑↑↑↑
Daily Taskは予め設定した試験日までの残日数を考慮した問題数が毎日生成されますが、もちろん自分で都度設定することも可能です。
また、上述のLibrary(まとめページ)から項目を絞ってDaily Taskを解いていくことも可能です。
問題数は非常に膨大で、STEP1では14969問で、STEP2 CKでは12976問です。
Patient Case(問題集:症例問題)
「Firecrackerに付属している問題集」という位置づけで良いと思います。
上述の「Daily Task」はどちらかというと断片的な知識を問うものですが、こちらの「Patient Case」では本番同様症例に基づいた出題がされます。
こちらもLibraryの各まとめページから項目を絞って演習することができますし、問題数を設定してランダムに演習することもできます。
演習後には、その出題分野に応じたDaily Taskを実施し、当該範囲を復習することも可能です。
Self Assessment(模試)
Firecracker版の模試です。UWorld(USMLE問題集)などとは異なり、こちらは別途の課金なく利用可能です。
さすがFirecracker、模試を受験し終わると、と出題された問題に対応するDaily TaskやPatient Caseが提示され、バッチリ復習することができます。
「解いて終わり」というUSMLE模試が多い中で、復習に類題まで出題してくれるのはFirecrackerくらいでしょうか。
その他の機能
このほか「試験直前モード」的なものが存在していて、これをONにすると、現在の到達度の簡単なアセスメントの後に、頻出分野に絞って勉強を継続することが可能です。試験直前のサポートまでバッチリです。
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Firecrackerを利用した対策の利点や注意点
Firecracker利用にあたっての注意点
ネット上では、「効果的に暗記できる!使うとスコアが上がる!」ということはよくよく伝わってくるのですが、上に説明してきたような機能の紹介はあまり見かけません。
このこともあってか、Firecrackerに対して
「導入するとUSMLEスコアが勝手に上昇する魔法のお箱!」
というイメージを抱く方が多いようです。
筆者自身、恥ずかしながらそのように考え、STEP1受験直前に軽い気持ちで導入してみました。
がしかし、蓋を開けてみると、上述のようにガッツリな仕組みであり、試験まで時間に余裕がなかった私は結局苦手分野に絞って活用せざるを得ませんでした。
Libraryの全項目の学習ステータスを一気に設定し(数多の項目がありますが、まとめてステータスを設定することは可能)、全問をDaily Taskの出題対象としてじゃんじゃん一問一答を繰り返すことも不可能ではないです。しかし、Daily Taskの問題数はかなり多く、これでは出題範囲がバラバラになって演習効率が悪いように思います。
最も効果的な利用方法は、ある程度出題範囲をまとめてDaily Taskを演習しながら、少しずつ出題範囲を開放し(学習ステータスを登録していく)、Daily Taskの範囲を徐々に広げていくことだと思います。
ここまで記事を読んでいただいた方はおわかりだと思いますが、
Firecrackerの効果を最大限得るためには、それなりに時間をかけ、腰を据えてこれを使っていく必要がありそうです。
Firecrackerの有用性
私は上述の通り駆け込みでしたので苦手な分野に限って活用しましたが、初学の段階から使っていればかなり効果的なツールだと思います。
イメージ的には、
「First Aidみたいなまとめ集+忘却リスクを考慮して出題してくれるハイテク小問集」
という感じです。
「真剣に活用すれば、STEP1対策のバイブルと言われてきたFirst Aidを捨てて、Fire cracker1本とUWorldなどのオンライン問題集のみで勝負できるんじゃないか!?」
とも思ったくらいです。
Firecrackerの良い点をまとめると、
- 忘却曲線に基づいた忘却リスク
- 学習者自身による到達度評価
- 学習者の希望学習範囲・優先度
これらを考慮してDaily Taskを出題し、網羅的に学習できる(させてくれる)点に集約できるでしょうか。
新しい分野・知識を勉強しながら問題集をこなす中で、既に勉強した範囲についての記憶が徐々に薄れていき、しばらく経って問題を解いてみると「あぁ、あれ忘れてるわ・・・」と絶望する経験は誰しもあるのではないでしょうか。
Firecrackerならこのような悩みを軽減してくれるのです。
繰り返しになりますが、
Firecrackerは「初学の段階」から「ガッツリ腰を据えて」利用することをオススメ
します。
まとめページでINPUT→Daily TaskでOUTPUT
の流れを分野ごとに行っていき、徐々に範囲を広げていくことが最も効率が良いと思います。
また、範囲を絞った学習も可能なので、もちろんかつての私のようにある程度勉強が進んでいる所で、苦手分野の対策のために導入するのも大いに効果的です。
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利用の費用と方法
Firecrackerはオンライン問題集同様、「○ヶ月○ドル」のライセンス形式です。
お調べいただくとわかると思いますが、これだけの機能を備えておいて他の問題集より圧倒的に価格が安いです。2ヶ月$69〜で利用可能です。
高額な教材が少なくないUSMLE対策の中で、少額から始められるのもメリットでしょう。もちろん長期ライセンスにするほどお得です。
加えて、他の問題集とは異なり、一律の金額でSTEP1のコンテンツも、STEP2 CKのコンテンツも利用可能であるほか、臨床実習対策として「外科」「内科」「産婦人科」・・・などといった括りでの演習も可能です。
学習媒体としては、Internet ExplorerやSafariなどのブラウザのみでなく、スマートフォンアプリもリリースされており、オンラインで演習記録を同期できます。もちろん購読者なら無料です。
「アプリでスキマ時間を活用」というスタイルで勉強できるのもFirecrackerの強みです。
「百聞は一見に如かず」です。是非トライしてみてください!
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※ちなみに、登録時に「Premed/M1〜M4/Graduated」などを選択する画面がありますが、どの学年を選択しても学習内容は同じです。
※米国では一般大学(Premed)4年+医学部4年で医師になります。日本の医学生がFirecrackerを利用する場合、1年次・2年次ならPremed、3年次ならM1、4年次ならM2、5年次ならM3、6年次ならM4という感じで選択すれば良いと思います。
まとめ
以上、Firecrackerの内容について書かせていただきました。
繰り返しになりますが、「直前に利用するとスコアがあがる魔法のお箱」ではありません!
しかし、対策早期から腰を据えて利用していくことで、確実にスコアアップが期待できますので、USMLE対策の初期段階こそ是非利用してみてください!
※記事の内容は筆者の学習時のものであり、現在の仕様を保証するものではありません。変更点が含まれる場合もありますのでご了承下さい。
※この記事はシリーズ「USMLE STEP1 合格体験記」の一部です。
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