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【USMLE受験のメリット】基礎医学→臨床医学の橋渡し

USMLE STEP1
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※この記事はシリーズ「USMLE STEP1 合格体験記」の一部です。

日本の医学教育(少なくとも私の大学)では、明確に「基礎医学」と「臨床医学」の間に狭間があります。

大学の多くの先輩が「基礎医学は面白くないでしょ、熱心に勉強してもあんまり意味ないから遊んどきなよ」とおっしゃっていて、私自身もそれに同調していた記憶があります。

低学年のくせに勉強ばっかりして視野が狭い医者になるぞ!?
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USMLEの勉強をして、この認識が変わり、基礎医学の勉強を低学年のうちにもっと頑張っておけばよかったと後悔しています。

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USMLE STEP1の出題形式

USMLEの出題領域は一応「基礎医学」となっていますが、臨床(病態生理学や病理学も含んだ広い意味)の知識がベースに必要となります。これについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

USMLE STEP1の落とし穴
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受験対策をする立場では、勉強しなければならないことが増えて大変なのですが、見方を変えればこれは基礎医学がどのように臨床に生きているのかを学ぶ良いチャンスです。

STEP1の出題例

他の記事でも何度か触れていますが、STEP1で問われるのは以下のような問題に解答できる知識です。

  1. 臨床現場(例えばER)に患者がやってきて、現病歴・既往歴・身体所見・検査所見等を提示
  2. 何らかの臨床的アクションが起こる・・・A
  3. このアクションに関して基礎医学的見地からの解釈を問う・・・B

例として、

A)診断のための検査で異常値を発見→B)生化学的に考えて異常値が出るメカニズムは?

A)確定診断と薬剤投与→B)薬理学的に考えてこの薬の効くメカニズムは?

A)治療開始と副作用の出現→B)病態生理から考えて、予めどうしておけば副作用を防げた?

A)遺伝子疾患であることが判明→B)遺伝学的に考えて、家族はどういうリスクを負うか?

などなどです。

問題を解くためには、臨床医学の知識が少なからず要求されるほか、基礎医学が臨床医学にどのように役立てられているのかを知る必要があるのです。

USMLE STEP1を勉強するメリット

以上のような性質を持つUSMLE STEP1の試験対策を行うことで、複数のメリットがあると考えます。

基礎医学が面白くなり、臨床の勉強もスムーズになる

まず、「面白くない」「こんなことやって意味あるの?」「覚えるだけ」と認識されている基礎医学の勉強が、実際の臨床現場でどのように役立てられているかを知り、劇的に楽しくなります。

基礎医学を学んでいる段階から、その知識が関連する疾患や病態をたくさん知ることができる(場合によってはさらに踏み込んで体系的な疾患知識を身につけることができる)ので、いざ臨床の勉強だ!となったとき、「何からどう勉強したら良いかわからない」ということも起こりにくいでしょう。むしろ「さぁ臨床の勉強だ」という意識すらなくなるかもしれません。

丸覚え・丸暗記が減る

普段の勉強に繋がるような現実的(表面的)な話としては、覚えることが減ります。

私自身、「USMLEの勉強をしてなかったらこれは丸暗記だったろうな」ということがたくさんありました。

例を挙げればキリがありませんが、

「カテコラミンの生成代謝経路について詳しく勉強することで、褐色細胞腫や神経芽腫等で検出されるマーカーの挙動について丸覚えする必要がない」

「心筋梗塞後の心筋の経時的病理変化について知っていることで、心筋梗塞後の合併症について改めてその時期を丸覚えする必要がない」

「ポルフィリンの代謝について理解していたことで、各種ポルフィリン症や鉛中毒、鉄芽球性貧血の病態についてそれぞれ丸覚えする必要がない」

などなどでしょうか。

丸暗記を回避できなくても、理屈がわかれば理解が深まり、忘れにくくなると思います。

臨床を実践する上で糧となる知識・思考を得られる

これは病院見学先でお世話になった救急科専攻医の先生のお話なのですが「今のうちに、根本(仕組みに関わる部分=基礎医学)」についてもっと学んでおいたら、臨床をやる上でおもしろさを感じるよ」と言われたことがあります。

この先生の仰る通り、エビデンスや経験を目の前の病態に還元する際には、基礎医学に分類される知識と、それがどのように臨床に反映されているのかを熟知しておくことで、

  • より良いアウトカムを生むための標準的治療のマネジメント
  • 新しくデータ蓄積に乏しい治療・薬剤等の治療効果・導入の検討
  • 治療方針の決定(複数の標準治療から病態に合わせて選択する)
  • 未知の病態・治療の取扱い

といった様々な局面において、有機的な判断が可能になるように思います。

私は臨床での経験はほとんどないに等しいですが、例えばただ敗血症性ショックに対して、

「教科書通り、昇圧剤を使って、お、血圧が上がったね!めでたしめでたし!」

と考えるのではなく、

「この昇圧剤が心伝導系・心筋・血管平滑筋などにどのような生理学的影響を及ぼすのか、体液量・腎機能・呼吸機能といった他のシステムにはどのような影響を及ぼすのか」

といったことを解釈しながら臨床を実践できることは大変に興味深いのではないかと思います。

まとめ

以上のように、USMLE STEP1の勉強を通して、基礎医学の大切さ、それを構築してきた基礎研究の大切さまで理解することができ、これらが臨床医学にどのように役立てられているのかを知ることができます。この知識は自分自身が臨床の勉強・実践をする際にも必ず活きてきます。

そういう点で、USMLE STEP1は、単なる基礎医学の試験、留学のための手段ではなく、基礎→臨床の橋渡しとも言える試験だと感じました。

【シリーズ】医学生5年目のUSMLE STEP1 合格体験記
私は2018年(5年在籍時)にUSMLE STEP1をPASSしました。 これから受験される方やUSMLEに興味のある方へ向けて、私の体験を記していきます。 USMLE STEP1の合格体験記とし...

 

(※この記事はシリーズ「USMLE STEP1 合格体験記」の一部です。)

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