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「カルテ書いてみて」と言われても迷わない。【大学では習わないカルテの書き方】

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大学では学ばない・習わないけど、医師として重要な業務

には色々あります。

前回は、「症例プレゼン」について記事にしました。

「あの医学生/研修医はすごい!」症例プレゼンのコツ
「この患者さんについて、簡単にプレゼンして!」 医学生や若手研修医が最も恐れる上級医の言葉の一つではないでしょうか。 「プレゼンテーション」「相手に伝える」ということについて体系的に学んだこと...

今回はその第二弾。

「カルテの書き方」

についてです。

カルテ(診療録)の役割は、単なる「記録」的な意味には留まりません。

様々な診療科の医師・医療者が患者さん一人の診療に関わらなければならない今後の医療では、「どのようにカルテを記載するか」ということが、その人の医学的介入のクオリティを大きく左右します。

筆者は手術や手技の技量や、内科的知識の豊かさと同等に、いかに良いカルテを記載するかが重要なスキルだと思っています。

なぜ「より良いカルテの記載」が必要なのか、是非とも理解・勉強していっていただきたいと思います。

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そもそもカルテ(診療録)とは??

医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。

医師法二十四条

カルテは「公文書」として扱われ、診療業務を行った医師は、必ずその内容を診療録に記載しておく必要があります。

カルテは当然のことながら、「記録」としての重要な役割を担っているわけです。

しかし、単に記録的な役割に留まらず、カルテには診療全体をより良いものにする力があります。

もちろんその逆も然り、カルテの記載次第では、診療全体のクオリティを落としてしまうこともありえるのです。

ただの記録じゃない!カルテの役割

具体的に、カルテの内容がどのように診療全体と関わっていくのかみていきます。

患者さん一人に提供される医療は、多数の医療者がそれに介入することで成り立っています。

「職種」という意味だけでも、「医師」「看護師」「薬剤師」「作業療法士」「理学療法士」「メディカルソーシャルワーカー」などなど枚挙に暇がありません。

 

また、主として医学的介入を司る「医師」という役職のみに限定しても、その立場は様々です。

現在の日本の医療制度上、多くの医療機関が「主治医制」を採用しており、その患者さんの疾病について責任を持つ医師が一人存在するはずです。

が、もちろん主治医が一人の患者さんにつきっきりで24時間365日診療をできるわけではなく、情報共有を行い、時間で分担して外来・病棟業務をこなしています。

さらに言えば、高齢化が進み一人の患者さんが複数の疾病を持つようになったことと、医学の細分化が進むにつれてスペシャリストが乱立するようになったことで、一人の患者病態であっても、「高血圧は循環器内科で」「糖尿病は内分泌内科で」のような形で分業せざるを得ない状況となってきました。

もっと言えば、例えば「循環器内科」というスペシャリティの中には、虚血にフォーカスしている医師、不整脈にフォーカスしている医師などと様々ですし、「内分泌内科」というスペシャリティには、「糖尿病」「甲状腺疾患」「下垂体疾患」などなど、それぞれが得意としている分野があります。

 

このように、多数の立場の医師・医療者が介入する状況にあっても、患者さんは紛れもなくその一人なのであり、一貫した集学的な医療を提供することが必要です。

もちろん、それぞれの立場が強みをいかした診療をすることが求められますが、情報共有がうまくいっていないと、「私はあなたの高血圧しかわからない」とか「私はあなたの糖尿病しかわからない」という状況に陥るのです。

これでは「『高血圧+糖尿病』からCushing症候群を見逃す」みたいなことだってありえない話ではありません。

「私は〇〇専門だから」は度が過ぎれば医療者の言い訳・怠慢と言わざるを得ないのです。

 

これら専門家どうしを繋ぐ上で、重要なツールはいくつかありますが、その中で最も重要なのが、「カルテ」なのです。

カルテを自分の思うままにテキトーに記載すれば、情報共有はうまくいかず、全人的な医療を提供できないばかりか、上述のように見逃し、医療事故・医療過誤に繋がることもあり得ます。

逆に、カルテの書き方を工夫することで、診療全体をより良いものとすることもできます。

具体的にどう書くの?

この記事では特に、「カルテ記載のテンプレート」という基本的な部分に重点を置いて紹介したいと思います。

 

上述の通り、患者さんは様々な医学的問題を抱えている場合が多いです。

もちろん生来元気な中学生が「骨折」だけで病院にかかることもあるでしょうが、多くの患者さんは、複数の疾病を持っています。

「高血圧症、脂質異常症、糖尿病やこういった疾患を背景に発症した心筋梗塞、脳卒中」といった形で、多数の疾病を同時に持つ患者さんもおられ、今後高齢化によってこのようなパターンは増えていくことが予想されます。

Problem Oriented Medical Record

こういった場合に有用で、現在日本の医療現場で最も利用されているカルテの記載方法が、

「Problem Oriented Medical Record(POMR)」

です。

一人の患者さんに関わる情報を、複数の問題に分解して記載していきます。

上述の例で言えば、

#1 高血圧症

#2 脂質異常症

#3 2型糖尿病

#4 陳旧性心筋梗塞

#5 小脳出血

などという形で、患者さんの医学的問題を分けて記述するものです。

SOAP方式

また、それぞれの医学的問題については、「SOAP」を意識して記載します。

S:Subjective(主観的情報)

O:Objective(客観的情報)

A:Assessment(評価)

P :Plan(計画)

イメージしづらい所がありますので、具体的に書いてみます。

上述の患者さんの継続外来のカルテです。

 

#1 高血圧症

S)家での血圧はだいたい120/60くらいかな。先生に言われてから梅干しは1日1個にしているよ。高血圧の薬も必要かね?

O)BP 145/75mmHg HR 78 下腿浮腫(-) 頸静脈怒張(-)

A)病院で測定した血圧が高い。白衣高血圧? 本人の話通りなら薬物療法は時期尚早か。本日も減塩指導し、次回外来まで血圧を記録して持ってきてもらう。

P)減塩指導、起床時・就寝時の血圧記録。

#2 脂質異常症

S)・・・

 

こんな感じで、プロブレムごとに記載していきます。

SOAP形式にする理由は、「S:患者やその他のソースからの主観的情報」「O:身体所見・検査所見等の客観的情報」「A:S・Oをもとにした記載者の考え・方針」「P:具体的行動計画」の4点を区別し、整理するためです。

この形に則って記載していくことで、誰がカルテを見ても各プロブレムの状況を的確に把握することができます。

また、漫然とカルテを記載する場合に比べて、各プロブレムに対するアセスメントやプランが明確となり、より良い医療介入に繋がります。

 

もちろん、カルテを記載する機会は上述のような「継続外来」だけではありません。初診外来、入院中など状況は様々で、ここには到底書き尽くすことはできません。

カルテの記載方法について、詳しく学びたい方は、以下の書籍がオススメです。

各シチュエーションごとに、カルテをどのように書くべきか具体例を交えて紹介しています。

また、「情報整理」「記録」のためのカルテ記載に留まらず、患者さんの医学的問題に適切に、網羅的に介入しながら、日々の業務を効率よく遂行するための手段としてのカルテの記載方法にフォーカスしている点も大変参考になります。

筆者も、これ一冊でカルテの記載について迷いや苦手意識が相当払拭されましたし、病院見学等で初期研修中の先生のデスクにはかなりの確率で据えられている書籍です。

 

「カルテの記載方法」なんて、大学では体系的に教わることのない領域です。

ある程度臨床知識がないと読み進めるのが難しいかもしれませんが、臨床の勉強と併せて読んでみると、臨床実習や初期研修の時に大いに役立つでしょう。

さらに詳しく!

患者・医療者双方にとって良い環境を作るためには一人ひとりの少しずつの努力が必要です。

是非、「総合プロブレム方式」について勉強することで、

  • 患者さんへの全人的医療
  • 医療者の働きやすい環境づくり

を同時に達成しましょう!

【カルテの書き方】総合プロブレム方式とは。
前回の記事で、「カルテの書き方」の基本「Problem Oriented Medical Record」について紹介しました。 今回は、その続編という形で、「総合プロブレム方式」を紹介します...
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