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【物理選択v.s.生物選択】医学生が教える医学部志望の理科選択

大学受験
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ここまでのブログ記事では、大学受験について医学部入試を中心として勉強方法等について紹介して参りました。

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今回は、医学部を目指して勉強されている高校生が悩む一つのポイントである、「理科選択」について紹介していきたいと思います。

多くの高校生が「物理選択か生物選択か」で悩むことになると思います。

筆者は物理選択にて医学部を受験しましたが、今回は「入学試験」「勉強内容」という視点はもちろんのこと、医学部入学後の勉強や、医学部卒業後についても紹介しながら、生物選択・物理選択を考えていきたいと思います。

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医学部志望の理科選択:結論

医学部医学科は、少数の大学を除いては原則として理科2科目を受験必須科目としています。

したがって、医学部を目指す高校生は高校在学中のどこかの段階でその2科目を選択しなければなりません。

多くの高校で化学は必ず履修する方針をとっています。さらに、「地学」はマイノリティすぎて選択肢から除外されることがほとんどです。したがって、実質問題となるのは「物理選択にするか、生物選択にするか」ということでしょう。

先に筆者の考える結論を申し上げてしまえば、

「長い目でみれば大差はないので好きな方を選択する」

ということなのですが(笑)、以下、Q&A方式でこの結論に至る筆者の思考や医学部の実状等を紹介していきますので、どうか最後までお付き合いください。

 

生物選択/物理選択のQ&A

人間は生物なんだから医学部志望なら生物選択にすべきですか?

医学は基本的には生物学と密接に関わって成り立つ学問ですし、人間が生物であることも自明です。

高校で生物を履修したことによる基礎知識やこれに伴い得られる余裕から、入学後さらに生命科学としての医学に造詣が深くなるということは大いに考えられるでしょう。

個人的には特に、生命科学における研究・実験の方法や考え方について高校生のうちから慣れ親しむことができるのはメリットであるように思います。生物を相手にした研究のデザインは、その対象が生き物であるがゆえに大変難しいものです。医学部では主に人間を対象とした研究の論文を読んで学ぶことも多いですが、高校生のうちからそういった生物相手の実験について知っておくことで、入学後に役立つことも多いのではないでしょうか。

しかし、だからといって医学部志望なら必ず生物を選択しなければならないということにはなりません。

「医者が将来勉強や仕事で対象とする人間は紛れもない生物なんだから、医学部志望である君が生物を選択するのは当然でしょ!」

時たまこういうことを仰る方を見聞きします。高校の教員、医学生、医師であってもこういうことを平気で仰る方がいらっしゃって大変驚くのですが、短絡的な考えですので注意してください。以下に理由を2点列挙したいと思います。

一つとして、大学側が、化学、物理、生物、地学の4つから2つを選べば良いと言っているのです。どれでも2科目勉強して理科の基礎知識を培った上で受験・入学してくれたら、医師として必要な知識体系は大学で学ぶ機会をしっかり与えるということですから、高校では好きな2科目を勉強すれば良いわけで、「生物必須」ということにはなりません。

二つ目としては、文科省の定めるカリキュラムとして、生物では人間以外について幅広く勉強しなければならない点です。これは生物全体を見渡す上ではメリットですが、人体の仕組みに興味があって、他の生物(植物など)や生態系にはそれほど興味がないという方には苦痛な時間となってしまうかもしれません。実際に教科書を開いてみるとわかりますが、人体の仕組み等に言及する分野は「生物」というカリキュラムの一部であり、「人体の仕組みに関する深い知識や病気の知識など医学部っぽい勉強の予習」と期待して生物を選択すると後悔する可能性があります。

医師になって物理の知識は不要というのは本当ですか?

「物理なんて医学部では使わないよ!

という言葉を耳にすることも多くありますが、これも誤りです。

これは筆者も医学部で勉強していて驚いたことなのですが、物理的な知識は結構使います。「一般教養で物理の講義があってそこで役に立つ」ということではなく、基礎医学・臨床医学の勉強や実習をしていて、普通に物理で学んだ知識が必要になったり、その知識が活用される場面がいくつもあるのです。

具体例をあげればキリがありませんが、循環や呼吸、患者さんを取り巻く医療機器の仕組みに至るまで、医学は物理に溢れています、特に重症の疾患になればなるほど、治療上物理的な考え方が重要になることが多いです。集中治療や麻酔の専門書などには平気で物理の微分方程式が登場したりします。

【大学受験】高校物理は微分方程式を使って教えるべき。
筆者は、自らの高校時代の経験や、現在の予備校でのチューター勤務の経験を経て、高校での物理履修について、微分方程式を含む数学的知識をもっと活用するべきであると考えています。 高校時代の経験から ...

数学が苦手で物理を避ける医学部志望の方も多いですが、高校レベル相当の物理学的な考え方、そのための数学的知識は、医師になってからも扱えなければ困ります。

医学部の勉強についていくために物理と生物どちらを選択すべきですか?

大学によるところはありますが、医学部入学直後は生物(得に細胞生物学)を勉強することになります。その意味では、確かに高校で生物を勉強しておけば、医学部での勉強がスムーズにスタートできるかもしれません。実際に高校での生物選択者はわりと涼しい顔で医学部入学直後の講義を聴いていたように思います。

一方、入学後に一般教養として全員が物理を勉強しなければならない大学がほとんどです。内容は各大学のカリキュラムによるところが大きいとは思いますが、一般に大学の物理は普通に微分・積分を物理の道具として使うようなより高度なものですので、高校で物理を選択した素地があるとそういう所でつまづきにくくはなると思います。

しかし、一般教養の域を脱すれば、正直物理選択でも生物選択でも勉強についていくことに関して大差ないのが実状です。まずは生理学、生化学といった基礎医学から勉強していくことになりますが、生物選択の学生でも「高校で勉強していないことばかりで結局一から勉強だよ」と言ってたりします。

医学部の勉強についていくという点では物理選択も生物選択も一長一短であり、長い目で見ればどちらでも良いのです。

以降は完全に私見であり各大学にもよると思いますが、私は物理選択の方が一般教養を乗り切りやすいという実感があります。というのも、物理を全く勉強しなかった人が突然大学レベルの物理を勉強するのは相当な負荷だからです。公式など根本原則を一から理解して、それで問題を解けるようになるのは大変なことです。

生物を勉強していなくて医学部の勉強についていけるかという疑問も生じるでしょうが、正直覚えることを覚えてしまえば乗り越えられる場合がほとんどです。

生物選択だった方が大学で物理を勉強する苦労を考えればイージーなことといえるかもしれません。

数学が苦手なら生物を選ぶ方が良いのでしょうか?

よく「生物選択は数学・計算が少ない代わりに覚える量が多い」ということが言われますが、これは概ね事実です。物理に比べれば、「知らないとどうにもならない」という問題が多いのは否定できません。

したがって、数学チックなことが苦手な方はどうしても生物選択に目が向きがちとなるのも無理ありません。

しかし、「思考力」は生物でも問われます。基礎事項の理解は前提とした上で、思考力を問う問題の出題は可能で、難関といわれる入試ほどそのような傾向にあります。それこそ、生命を対象としていかに客観的に実験を設定できるかというような問題が出題されたりします。

「生物はとりあえず覚えればなんとかなる」という認識は医学部入試、特に2次試験や記述試験においては誤りなのです。思考力が必要な教科であり、それを試すための試験問題はいくらでも作れるという一面を忘れてはなりません。

繰り返しになりますが、医学部での勉強も、医師になってからの勉強も、数学的な知識抜きではやっていけません。物理や数学といった理数的なことを避けたいという理由で生物を選ぶのは良い選択とは言えません。

 

結局生物と物理、どっちを選べば?

冒頭でも述べたとおり、私の結論は「人それぞれ&どちらでも良い」です。

しかし、理科を選択する上でよく耳にする言葉のなかに、正しくないものが含まれていることには留意が必要であるように思います。

蓋を開けてみて「なんか思ってたのと違うなぁ・・・」とモチベーションを保てなくなることが一番問題となると思いますので、選択する前の段階で教科書をパラパラ読んでみることをオススメします。

また、現在では物理基礎や生物基礎を含む理科基礎の履修が義務付けられている高校も少なくないと思いますので、それに合わせて自分なりに詳しく勉強してみて、理科選択を選ぶ上での参考とするのも良いのではないでしょうか。

上述のQ&Aも含めて、ご質問があれば適宜加筆していきますので、コンタクトフォームより遠慮なくご連絡ください!

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また、医学部入試対策についてまとめていますのでこちらもご覧ください!

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