※この記事はシリーズ「USMLE STEP1 合格体験記」の一部です。
以前の記事でお伝えしたとおり、筆者は、臨床知識の補完・医学英単語の知識充実のため、USMLE対策を一旦中止し、ひとまず日本語で勉強しました。
本記事では、USMLEの学習に再突入するにあたり、どのような勉強法・計画を立てたか記載します。
臨床知識は結構ある方で、「これからUSMLEの受験にも興味があるなぁ」という高学年の方を中心に、参考になれば幸いです。
勉強法:INPUTベース?OUTPUTベース?
既に日本語である程度臨床知識まである方としては、大きく2通りの勉強方法が考えられると思います。
- INPUTベース:出題領域について参考書等を中心に系統的にまとめた後、該当範囲について問題集で知識を固める方法
- OUTPUTベース:問題を解き、それに沿って参考書等で知識を固める方法
以下にその2通りについて、その方法とメリット・デメリットを記し、最終的にどのような決断をしたか示します。
INPUTベース
私のいうINPUTベースとは、「主にはFirst Aidを利用し、例えば循環器なら該当範囲を読み込み、問題集でその範囲の問題を解く」という方法です。
領域ごとに時間をかけるため、復習を怠らなければ抜けのない知識を得ることができます。一方で、各領域にまとまった時間が必要であるため、全体としての学習レベルを合格ラインまで引き上げるのにはより時間がかかるほか、時間配分、学習密度の配分が難しくなるでしょう。
さらに、適切に復習を挟まないと「1ヶ月後に呼吸器の勉強をする頃には循環器の知識が抜けている」ということも起こり、知識がアンバランスになりえます。
各領域ごとの繋がり(例えば血液領域の「大球性貧血」と生化学領域の「葉酸・ビタミン代謝」の関係など)を俯瞰するのが難しくなります。
対策に十分な時間があり、後に後述するような分野ランダムの問題演習を行って全体を俯瞰する余裕のある方は、その前にこのような各領域に集中したINPUTを行うと、ベースの知識がしっかり根付くため良いでしょう。
OUTPUTベース
私のいうOUTPUTベースとは、分野をランダムにしながら(あるいは問題の分野をある程度絞りながら)、まず問題にあたってそれを解き、その問題のテーマに沿って勉強するというやり方です。
OUTPUTで勉強する場合のメリット・デメリットは、多くはINPUTベースの裏返しです。確かに各領域で抜ける知識があったり、前提としてすでにある程度知識があることが必要かもしれませんが、全体を俯瞰し、時間配分や労力の配分を計算することができます。各領域ごとの繋がりも意識しつつ、効率よく学習できるというメリットもあります。
私がとった方法
ベストなのはどう考えてもINPUT型で勉強した後に、OUTPUT型で勉強するということでしょう。
結論から言うと、私は上のような領域別・INPUTベースの学習は行っておらず、いきなりOUTPUTベースの勉強を始めてしまいました。
理由は何点かありますが・・・
まず、前の記事で述べたように、CBT、国試の勉強を1年以上かけて行ってきました。その際は、さすがに臨床領域の各疾患については初学であるため、領域別に日本語の参考書や国試対策本を利用してINPUT型の勉強をしてきたのですが、やはり系統的に勉強するのはエネルギーと計画性が必要でした。USMLE対策として英語で再度これをするのはしんどいなぁと思ってしまい、ある程度、CBT・国試の知識に頼り、それを補完する形で良いだろうと考えたわけです。
あとはやはり「まず問題を見て考える」というプロセスから始めることで、「問題に関係する疾患・病態に関する好奇心が刺激される」、「自分に足りない知識は何か自覚する」、「現状じゃこの問題は解けないという危機感を得る」といったことから、その問題のテーマについて勉強する際の定着度がかなり上昇するという実感があります。
また、時間的不安もありました。「仮にSTEP1合格後にSTEP2も受験するとして、CKとCSをいずれも卒後の初期臨床研修中に受験するということになれば、もちろんその対策にある程度時間が必要であり、それでは本分である初期研修が疎かになるのではないか」という考えがあり、できればSTEP2 CKまで学生の間に受験しておきたかったのです。そういう状況にあって、この段階で4年次の1月でしたので、分野ごとに悠長に勉強している余裕はないな、と考えました。
最大の理由としては学力的な不安です。分野ごとに知識を深くする方法より、全体の知識をゆっくりと深くしていく方が、合格ラインに対する自分の学習の到達度がわかりやすいですし、苦手な領域を見つけ出して補強したり、捨てる捨てないのあたりをつけたり、労力の配分計算も容易です。後の記事で述べることになりますが、幸いレベル・形式がかなり本番に似通った問題集を利用できましたので、この正答率を参考に出題範囲全体に関する現状レベルを随時確認することができました。
医学英単語はどうしたか
これが最も懸念事項でしたが、CBTや国試の勉強をしていたせいか、なんとなく問題の雰囲気から単語のあたりがついたりして、思っていたより問題文を読めました。もちろん知らない単語もたくさん出てきますので、そういった単語は逐一調べました。
(受験まで医学英単語をしっかり覚えるためのシステムを構築しなかったことが反省点です。この反省をいかし、現在STEP2 CKの勉強では、アプリを用いて医学英単語の暗記を管理しています。)
まとめ
まずはFirst Aidを読み込め!という教えもありますが、私は時間的不安、学力的不安、そしてそこまで日本語で頑張ってきたCBTや国試の知識の裏打ちによって、問題演習に突入してしまいました。とにかく問題を解く→その分野の知識を整理・確認という方法です。
先に演習をしてみた感想を述べてしまいますが、CBTや国試の問題を大量に解いただけあって、意外に問題が解けるんですね。医学英単語も文脈から予想できるようになっていました。
初めてQ&Aを解いたときの絶望感を思い出し、1年間の勉強が報われた気がしたと同時に、一旦英語で勉強することを捨てて、日本人なりに日本語で効率よく知識を詰め込んでよかったと思いました。
「一から英語で勉強することに意味があるんじゃないか!?」等の賛否はあると思いますが、限られた時間で効果を最大にするためにやったことですし、実際にSTEP1に合格できた今、後悔はありません。
これが
「純日本人が効率よくUSMLEに合格したいなら、USMLEの前に日本語で臨床医学までみっちり勉強する!」
と私が考える一番の理由です。
次は実際に問題演習を行った記録です!
(※この記事はシリーズ「USMLE STEP1 合格体験記」の一部です。)
コメント