※この記事は、シリーズ「低学年からのCBT対策のススメ」の一部です。
前回のCBT対策向け問題集の紹介に引き続き、今回はCBT対策で筆者自身も活用した教科書や参考書を紹介してきたいと思います。
尚、今回は臨床系科目の参考書を紹介します。
基礎医学の勉強については、以下の記事も合わせてご覧ください。
CBT対策参考書 内科オススメの2セット
臨床で最も大切な診療科はやはり内科です。
内科の勉強を通して、臨床医学の考え方を養うためにオススメの2つの書籍シリーズを紹介します。
病気がみえる
こちらはご存知の方も多いでしょう。 いわゆる「病みえ」です。
現在は①消化器、②循環器、③代謝・糖尿病・内分泌、④呼吸器、⑤血液、⑥免疫・膠原病・感染症、⑦脳・神経、⑧腎・泌尿器の内科各科が出版されています。
(内科以外でも、⑨婦人科・乳腺外科、⑩産科、⑪運動器・整形外科もあります。)
病気がみえるの特徴はイラストが豊富で理解しやすく、視覚に訴えるという点で記憶もしやすい点です。
また、改訂が結構多いのも病気がみえるの良いところです。
「ハリソン内科学」や「朝倉内科学」のような成書ではありませんが、CBTや国家試験レベルであれば、「病気がみえる」で十分対応できます。
アプリ版もあります。
STEP
「病気がみえる」ほどのシェアはありませんが、こちらも筆者がオススメのシリーズ書籍です。
元々のコンセプトは医師国家試験の頻出事項を中心に内科学をまとめた参考書ですが、CBTの学習にも十分力を発揮してくれます。
内科は全5冊で、①神経・遺伝・免疫、②感染症・血液、③代謝・内分泌、④腎・呼吸器、⑤循環器からなります。
(その他、マイナー科でも出版はされています。後に紹介します。)
イラストの豊富さは病気がみえるには劣る一方で、疾患についての概念、治療の考え方などの記載が大変豊富で、今後臨床医学をやっていく中で必要な思考過程を養うことができるからです。
個人的にはイラストで視覚的に理解するのが苦手ですので、文章ベースで思考過程を説明してくれる本書は大変有用でした。通読するだけでもへぇ〜と思うことが多く、結構面白いです。
改訂がやや遅く、最新の知識でない可能性もありますので、適宜最新の文献にあたる必要はありますが、国試レベルで大きく困ることはないと思いますし、なにより内科学での思考過程は大きく変化することはありません。
「病気がみえる」に押され気味ですが、深く勉強したい方には是非手にとっていただきたい一冊です。
国試対策にも使える1冊
主に国試対策に利用される書籍であっても、CBT対策でも有用である場合があります。
Year Note
国家試験で出題されたことを中心に、疾患の概念、疫学、症状、検査、治療、予後を網羅的に記述してくれている参考書です。
各疾患に対して、国試レベルで要求される知識を確認することができます。
その名の通り、毎年国試が終わった後に改訂されますので、知識のアップデートは十分です。
「国試では出題されるけど、CBTでは出題されない」疾患があるから、あんまり意味ないのでは、という意見もありますが、「国試でもCBTでも出題される疾患」についてはCommon diseaseが多いので、CBTの段階で国試レベルまでしっかり勉強しても損はないと思います。
書籍版、アプリ版と存在しますが、個人的にはアプリ版をおすすめします。
上述の通り、毎年改訂がありますので、書籍版であれば最新版がほしければ全額支払って新しいものを入手する必要がありますが、アプリ版なら安価な追加料金で最新版にアップデートしてもらえます。
マイナー科の参考書
マイナー科の勉強については、CBTの段階では問題集で出てきた疾患についてWeb検索などで勉強する程度でも正直十分ではあります。
しかし、そういった断片的な勉強ではなく、ある程度体系的に勉強したい方も多いと思いますので、CBTレベルで役に立つ参考書を紹介します。
レビューブック・マイナー
マイナー科は全科がこの一冊に集約されています。
コンセプトとしては、国試で出題されたマイナー科の疾患で、最低限押さえておくべき知識を一冊に集約した、という感じです。
CBT対策の初期は、筆者もレビューブックを多用していました。
STEPシリーズ・Simple Stepシリーズ
一方、やはりマイナー科も知識の羅列ではなく、基本的な疾患概念等も合わせて詳しく勉強したいという気持ちがありましたので、筆者はマイナー科のSTEPも利用していました。
マイナー科にはSTEPとSimple Stepとあるのですが、Simple Stepの方が比較的新しく、カラー写真やイラストが充実している印象です。
私が利用していたのは以下です。マイナー科については正直情報不足の中で教科書を揃えてしまったところがあり、下記より読者の皆さんに合ったものもあるかもしれません。
が、正直国家試験やCBTのレベルではどの参考書を選んでも大差はないと思います。
繰り返しですが、最も大事なことは問題演習をした上で、その周辺知識を蓄えていくことです。
その他の教科書・参考書
その他、病気がみえるをはじめ、これまでであまり登場してこなかった分野の参考書です。
小児科
小児疾患については、病気がみえるやYear Noteでは、内科各科の分野に割り振られています。
例えばFallot四徴症であれば循環器に収録されています。
しかし、「小児科学」として疾患を勉強することや、新生児〜小児期の発達について体系的に勉強することは重要です。
筆者のオススメはまたまたSTEPです。
小児科学からみた各科の疾患を、体系的に、網羅的に、かつ思考を大切にした形で説明してある良書です。やや分量は多めです。
また、筆者は使ったことがありませんが、小児科のレビューブックもあります。
産婦人科
QB産婦人科に加えて、以下の2冊もおすすめです(またSTEPになりますが、やはり説明がしっかりしています)
また、レビューブックも出版されていますので、さらっと復習したり参照したい場合はオススメです。
まとめ
筆者は暗記を大変苦手としているほか、イレギュラーな状況でも思考できる道具(知識・考え方)を知っておくことは大変重要であると認識しています。
そういう意味で、STEPシリーズは大変オススメです。
欲を出せば、出版社の方々にもっと頑張っていただいて、アップデートをしていただけると嬉しい限りです。
※この記事は、シリーズ「低学年からのCBT対策のススメ」の一部です。
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