※この記事は「USMLE STEP2 CK合格体験記」の一部です。
※筆者が考えるSTEP2 CK受験メリットの一覧は以下記事を御覧ください。
臨床判断を学ぶ
USMLE STEP2 CKの出題範囲は「臨床医学」とされていますが、筆者が特に良いと思ったのは「臨床判断」を養える点です。
例1:次にすべきことは何か
最も多い問として「次にすべきことは何か」というものがあります。
早速具体例ですが、
「24歳男性。右肺に刃物による刺創を受け、ERに搬送された。重症。」
このようなケースを想定してください。状況は他にも詳述されることと思いますが、この症例で「次にすべきことは何か」と問われる訳です。
- 胸部X線
- FAST
- 輸液全開
- 輸血全開
- 胸腔穿刺・ドレナージ
- 緊急開胸術
- 心嚢穿刺
おそらくこの患者さん、上記全ての介入をされることは容易に想定されます。
問題が「適切な治療はどれか」だったら全部正解でしょう。
しかし、「次に何をすべきか」と問われるのがSTEP2 CKです。
「全部必要なんだろうけど、何を優先すべきかなぁ」と悩まされるのです。
上記は適当に作った例ですので、問題としては不適切と思います。実際の問題では、患者のバイタルなどなど詳しく記載されている内容を把握した上で、外傷初期診療のプロトコルに対応させ、次に優先して介入すべきことは何かを判断するわけです。
この他で対策していて困ったのは産科領域での臨床判断。母体の臨床所見や、胎児心拍数陣痛図などを勘案し、次の介入を選ばなければなりません。産科領域の難しさは日本の医師国家試験も負けていない気がしますが、どの領域でもそのレベルが求められるのがSTEP2 CKという印象を持ちました。
例2:適切な治療を選べ
「適切な治療を選べ」は一見普通の問なのですが、選択肢の深さにうなされることもあります。
例えば、感染症に対する治療の問題。
日本の医師国家試験なら「抗菌薬・ドレナージ」で済む問題も少なくないですが、STEP2 CKは当たり前のように抗菌薬の種類を選択しなければなりません。
しかも、問題中にFirst choiceを使えない何かしらの理由がしれっと記載されていて、Second choiceを選ばなければならないようなこともしばしば。
同様の例に抗不整脈薬の選択など枚挙に暇がありません。
例3:周術期トラブル
日本では、研修医として診療を実践してみてはじめて学ぶことって多いと思います。一つの例は周術期管理です。
日本の医師国家試験では、術後のトラブルを診断し、治療を問う問題は少数派ですが、STEP2 CKではよくある問題です。
これに代表されるように、実際の臨床で遭遇する事柄と出題頻度の相関が高いというのも、STEP2 CKが臨床知識を得るのに良い一つの理由であると考えます。
ONE STEP上の臨床知識を蓄える
疾患の症状、検査、診断などに関する知識が問われるのはもちろんですが、治療介入について上記の如く深い知識を求められます。加えて、全て正解に思える選択肢から「次に」優先して行うべき介入を選ぶなど、臨床判断の知識・能力も必要です。
STEP2 CKは米国ではメディカルスクールの最終学年で受験するわけですが、彼らは日本で言えば初期研修医の年齢にあたります。
STEP2 CKは一応医学部の最終学年で受験することが想定されてはいますが、研修医並の知識が求められると言っても過言ではありません。
受験を振り返ると、これらに立ち向かうことで、医師に求められる臨床判断能力を少しは身につけられたかなぁと思います。
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