【医学統計勉強メモ】交絡Confoundingと交互作用Effect modification

医学知識(専門家向け)
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USMLE対策や公衆衛生で見かける「交絡=Confounding」と「交互作用=Effect modification」について、イメージを持てるように筆者なりにまとめましたので紹介します。

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交絡Confounding、交互作用Effect modificationとは

交絡や交互作用は、AとBという事象があり、AをBの原因として、またはBをA
の結果として考えるような際に統計学的に必要となってくる概念です。

例えば、「原因A▶結果B」の因果関係が本当に成り立つのかを調べる機会はたくさん想像できるとおもいますが、そういった機会に大切な概念です。

例)アルコールは肺癌の原因か?

アルコール&喫煙と肺癌の発症についてを具体例として説明しますが、事実とは異なる場合があるのでご了承ください。また、あくまでイメージを掴むためなので細かいことは気にしないでください。

 

調査の結果、

「アルコールを多飲する人は肺癌になりやすい」

という結果が出たとします。

これをそのまま鵜呑みにしても良いでしょうか?本当に飲酒が肺癌の原因となるのでしょうか?

答えはNoです。

鋭い方や、一度勉強したことのある方は気づいたかもしれませんが、例えば、

「アルコールを多飲する人は、タバコもたくさん吸う」

という事実が成立するとすればどうでしょうか。(ここではタバコは明らかに肺癌のリスクであることが証明されているとします。)

「アルコールが肺癌の原因なのではなく、アルコールをたくさん飲む人がタバコもたくさん吸う傾向にあるから、見かけ上、アルコールをたくさん飲む人が肺癌になりやすい」

という可能性が浮上します。

これでは「結局肺癌の原因はタバコなの?それともアルコールも原因になるの?」と混乱することになってしまいますね・・・

そのあたりをはっきりさせる良い方法はないのでしょうか・・・??

あります。その方法は「層別化」です。

層別化で交絡・交互作用を見極める

何を層別化するのかという話です。先程の例を用いて説明します。

アルコールの摂取量と肺癌の発症のしやすさを調べることには変わりないのですが、これを、タバコを吸う人と吸わない人で完全に別個で調査(層別化)するのです。

タバコを吸う人たちの中で、「アルコール多飲→肺癌」の因果関係を調べ、それとは別にタバコを吸わない人たちの中で、「アルコール多飲→肺癌」の因果関係を調べるということです。

交互作用Effect modification

本当にアルコールが肺癌の原因になるとしたら、このように喫煙の有無によって別々で調べたとしても「アルコール多飲→肺癌」の因果関係が観察されるはずです。

つまり、喫煙は喫煙で肺癌のリスクなんだけれども、アルコールも肺癌のリスクになるのでは、と考えられるわけです。

ここで、さらに深掘りして、喫煙をする人たちとしない人たちでアルコールによる肺癌のなりやすさを検討した結果、喫煙をする人たちほど、アルコールで肺癌になりやすいことがわかったとします。

ご理解いただけるでしょうか、例えば喫煙していない人ではビール5本/日で肺癌を発症するが、喫煙をしている人ではビール1本/日で肺癌を発症してしまう、というような話です。こんな単純ではないですが。

この例でいくと、喫煙はもちろんのこと、アルコールも確かに肺癌のリスクとなりそうなんだけど、喫煙+アルコールのダブルパンチとなることで、単純な足し算以上に肺癌になりやすくなるということが考えられます。

これが「交互作用Effect modification」です。

アルコール・喫煙はいずれも肺癌のリスクとして交互(相互)に作用する因子と考えているのです。

交互作用には上述のように作用を強め合う場合もあれば、弱め合うような場合もあります。

交絡Confounding

交互作用とは逆に、喫煙の有無によって層別化したとたんに「アルコール多飲→肺癌」の因果関係が観察されなくなったとしたらどうでしょうか。

これはアルコールは肺癌のリスクにはならないということを意味します。

アルコール多飲によって肺癌になりやすいように見えていたのは、実は

「アルコールが肺癌の原因なのではなく、アルコールをたくさん飲む人がタバコもたくさん吸う傾向にあるから、見かけ上、アルコールをたくさん飲む人が肺癌になりやすい」

という事実に騙されていたということです。

このような現象を「交絡Confounding」と呼びます。

今回の場合は、「喫煙」が「交絡因子」です。

 

交絡Confoundingについてもう少し詳しく説明すると、

原因A、結果B、事象Cがあったとして、

  • 事象Cが原因Aが相互に関係する
  • 事象Cが結果Bの原因となる
  • 事象Cが原因Aと結果Bの中間の因子ではない

という場合に事象Cを交絡因子と呼ぶようです。

まとめ

めちゃくちゃ簡単に言えば、

  • 層別化によって観察された傾向が消失する→交絡
  • 層別化によって観察された傾向が消失しない→交互作用

ということです。

本当の統計学ではここまでのテキトーな説明では許して頂けないのでしょうが、なんとなくのイメージはこの記事の内容で掴めるのではないでしょうか。

少なくとも医師国家試験、USMLEレベルならこの程度で大丈夫だと思います。

万一誤った解釈があれば是非指摘してください。

繰り返しになりますが、各例は交絡と交互作用を説明するための創作例であることをご了承ください。

タバコが肺癌のリスクになることは確固たるエビデンスの元に証明されているようですが、アルコールで肺癌になるのか否かは筆者もちゃんと調べたことがありません。

(確かアルコールはリスクとはならなかっったんじゃないか・・・はっきり覚えていません。ごめんなさい。)

ちなみに、この「交絡」の考え方は、医学統計のみならず日常の思考過程に応用することができます。

物事の原因を考える際に、一歩立ち止まって、「それってひょっとして交絡因子なんじゃないの?」と疑うことは非常に重要です。

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