【大学受験】高校物理は微分方程式を使って教えるべき。

大学受験
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筆者は、自らの高校時代の経験や、現在の予備校でのチューター勤務の経験を経て、高校での物理履修について、微分方程式を含む数学的知識をもっと活用するべきであると考えています。

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高校時代の経験から

@予備校

筆者自身は、高校での履修より先に、通っていた某予備校で物理を勉強しました。

私がとった講座では、いわゆる「公式暗記→問題へあてはめ」という考えより先に、微分方程式を含む高校物理の知識をふんだんに活用して解説がなされていました。

実際、「公式の丸暗記」などする必要なく、自然な形で問題を解けるようになりました。

確かに汎用する事項や公式については、殆ど覚えてしまって一から考えることは減っていったのですが、やはり根本原理を理解していることは大変有用です。

後に難問に出会って、「いつもの公式に当てはめると・・・あれ、ムリじゃん」みたいなことになっても、根本原理を知っていれば一から考えて答えを導き出すことができました。

お世話になった二冊を紹介しておきます。

@高校

一方、高校の授業を聞いていると、「この公式は大切だから覚えろ」とか、「この公式さえ暗記して問題に当てはめれば困ることはない」とか、「難しい導出はおいといて、こういうことだから覚えておいてね」とか、物事の仕組み全体を理解しないと気がすまない私からすると、正直イライラすることが多くありました。

ある程度根本原理の説明もあるのですが、それでも特殊な場合をあたかも一般例であるかのように示して、「ほら、導けたでしょ?」という感じでごまかしていく感じも腹立たしいものでした。

@教え得る立場から

高校生を教えていると、理科の質問で最も頻度が高く、しかも重みがあるのが物理の質問です。

やはり現行の履修上は、微分方程式等数学の知識を用いた物理の展開までは求められていませんので、答える側としてはそちらに合わせざるをえません。

一方で、たまに骨のある生徒から質問された際には、数学も交えて説明するようにしています。手前味噌で恐縮ですが、これが結構評判で、以降目を輝かせて自分で古典物理の考え方を勉強し、成績を上げてくれる生徒もいます。

こういう例をみるにつけ、もっと数学を使って根本原理を理解させてあげたら楽しく勉強してもらえるだろうに、と思います。

根本原理を理解するために

だから予備校に通うべきとか、だから高校の教育は良くないとか、そういうことを申し上げたいわけではありません。

高校物理を履修する中で、「根本的になんでそうなるの?」と感じている方も多いと思いますし、そうでなくても、根本から説明されれば「なるほど」と物理が面白いと思える人が増えると思います。

微分方程式を含む数学を用いて物理を勉強する

数学を使った物理とは

「例えば、x軸上を、時刻t=t0に、位置x=x0から、初速度v0、加速度aで動く物体がある」と言われたとき、現行の物理では、初期条件を公式に代入していくことで、速度や位置を求めていきます。

一方で、以下のように微分方程式を用いることで、より自然に考えることが可能です。

加速度a、つまり、「単位時間あたりの速度変化」の微小分がaであるから、dv/dt=a。

この両辺を積分して、v=a(t-t0)+c、(cは積分定数)

t=t0で初速度v0であるから、c=v0であり、v=a(t-t0)+v0

速度v、つまり、「単位時間あたりの速度変化」の微小分がvであるから、dx/dt=v=a(t-t0)+v0

以下同様に考えて、x=a(t-t0)2+v0(t-t0)+x0

 

加速度、速度、位置の微分・積分の関係についてはだいぶ端折って説明しましたが、このように、微分の考え方を用いると、運動方程式さえ立式できれば、一から考えて運動を表現することができます。(特に、上記の場合は、数学Ⅱまでの知識で十分理解可能です。)

 

そもそも、微分・積分の考え方は、古典物理(高校で扱われるような物理現象を説明する物理学)を議論するために、アイザック・ニュートンが「道具」として発明したものです。

高校で教える物理は、この成果に大きくフォーカスしており、どのように道具を使い、どのように考えていくか、というプロセスを大きく省略している状況です。

メリット

上記は単純な運動の一例で、計算も簡単です。もう少し数学の勉強を頑張る(三角関数の微分積分や、微分方程式をしっかり勉強する)ことで、波動や電磁気の分野など、他の分野でも根本の考え方を学んでいくことができます。

特に、現役生が苦手とする電磁気学(回路やコンデンサーなど)の分野は、多くの生徒が意味を理解しないままに公式を丸暗記してなんとか頑張っているという感じが見受けられます。

不幸なことに、電気回路の設定なんて無限に作れる上、現役生もなかなか手が回らない領域であるため、「公式丸暗記」の生徒の現役生の成績は奮いません。

微分積分の考え方を使って根本を理解していれば、困らないだろうになぁと常々思います。

 

というのは一つの例ですが、とにかく、イレギュラーな問題設定が出現したとしても、あたふたせず、いつものように考えてることで解答に近づける点で、根本原理を理解しておくことは大変有用であると考えています。

「そんなこといちいち考えていたら一問解くのに時間がかかる」という意見もあるでしょうが、筆者は根本原理を理解した上で、覚えることは覚えれば良いと思います。というか、問題演習をしていく中で、頻回に使う公式は自然に覚えてしまうでしょう。

やっていることは結局公式に当てはめているだけかもしれませんが、これらを与えられただけのものとして利用するか、自分で一から考えた結果身についたものとして利用するかでは、大きな違いだと思います。

 

また、数学の勉強という点でも古典物理の考え方は有用であると思います。

先程申し上げたように、そもそも微分・積分の考え方は、古典物理を論述するために発明されたものです。

数学ではその「道具」を勉強させられているに近い状態ですので、微分・積分の勉強にあまり面白みを感じない生徒が多いのも当然でしょう。しかし、ここで物理の勉強をすると、数学がいかに日常生活に役立てられているかを理解でき、数学の勉強も少しは楽しくなるのではないでしょうか。

デメリット

「考え方を理解する」という点では、高校生が微分積分を使って古典物理を議論することには何のデメリットもないと考えています。

また、微分・積分の考え方自体は、数学Ⅱで勉強することですので、概念として理解できないとうことも多くの場合はないでしょう。

しかし、高校物理のすべての範囲をカバーするだけの数学の知識を身につけるためには、数学Ⅲの知識+αの知識が必要になります。

三角関数や指数関数の微分方程式のほか、円運動、電磁気、波動などでは二階微分方程式の知識もある程度は理解しなければなりません。

以上、一度根本原理を理解するまでにやや時間と労力がかかる点が、唯一のデメリットであると思います。

こういった数学を用いた考え方を物理を履修する生徒に一律強いることが現実的でないことは理解できますので、現行の履修カリキュラムはその妥協案になっているように思います。

個人的には、高校物理をさらに分割して、数学Ⅲまで履修する理系生徒を中心に、微分・積分を用いた物理の考え方を教える科目を作っても良い気がしています。

おまけ

正直、自分が高校生の時には、微分・積分を活用して物理を勉強しても個人的興味が満たされるだけかなぁと思ったこともありました。

しかし、医学生となった今、こういう知識が普通に医学書を読むのに必要で、かなり得をしています。(笑)

微分方程式は普通に医学書に登場します。

医療には物理現象を活用している器械がたくさんあります。点滴回路、呼吸器、透析などなど枚挙に暇がありません。

また、筆者が志望する救急・麻酔・集中治療といった領域の教科書を読んでいると、血流の粘稠度、末梢血管抵抗、心拍出量、血管透過性、血漿浸透圧、肺コンプライアンスなどなど、説明に物理法則を要する事項も少なくありません。

高校生のときは思ってもみませんでしたが、やはり若い頃から微分や積分を用いた物理の考え方に慣れ親しんでおいて良かったと思います。

まとめ

完全に筆者の独りよがりな意見ではありますが、やはり高校物理では微分・積分の考え方を理解するほうが、学問の面白さや深みを肌で感じることにつながると考えます。

扱う道具(数学)が高度になってしまい現実的でないという意見もわかりますが、何らかの工夫によって、そういった学問の面白さが高校生に伝わるようになれば良いなと思います。

微分・積分をふんだんに用いた物理を勉強したい方向けに、記事を改めて高校生向けに物理の参考書・問題集をまとめたいと思います。

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