来年からの初期研修に向け、BLSのコースを受講してきました。
AHA BLSプロバイダーって?
「心肺蘇生」「胸骨圧迫=心臓マッサージ」「人工呼吸」というワードを聞いて、多くの方はBLSの雰囲気を感じ取って頂けると思います。
運転免許を取得される際にも同様の実技は必修となっていて、簡単にでも経験されたことのある方は多いのではないでしょうか。
「BLS」は「Basic Life Support」の略で、街中(医療機関ではない所)で誰かが突然倒れ、心肺停止やこれに準じる状態に陥った場合に施すべき処置のことです。
アメリカ心臓協会(American Heart Association)により、標準化された正しいBLS処置の仕方(お作法みたいなもの)が定められており、5年ごとに改定されます。
これを1日の講習にて適切に学んだ者が「BLSプロバイダー」と称されるのです。
先述の通り、標準化された方法が5年ごとに改定されること、常に処置の質を担保しておくために、BLSプロバイダーの資格期間は取得後2年間とされています。
何がBasicなの?
「Basic」の意味するところとして、救急車が到着する、または医療機関に搬送するまでに必要とされる蘇生処置を指しています。従って、医療従事者のみならず、一般市民の受講も可能です。
特に職場の健康管理責任者、アミューズメントパーク職員、スポーツインストラクター、ライフセーバー、保育士、幼稚園教諭、学校教諭、養護教諭などなど、「市民と医療従事者の間」的な立ち位置の方の受講が推奨されています。
BLSの次なる概念として、医師や看護師などにより医療機器を用いて提供される「Advanced Cardiovascular Life Support(ACLS)」があり、こちらは医療関係者向けのコースとなっています。様々な資格(例えば麻酔科専門医など)を認定されるのに、ACLSプロバイダー資格保持が必須とされる場合もあったりして、標準化された資格と言えます。
ACLSプロバイダーコースの受講には、BLSプロバイダー資格を保持していることが必須となっているようです。
また、こういったコースに「インストラクター」つまり「教える側」として参加することもでき、「インストラクター」となるためのコースなんかも存在しています。
私にとってはまだまだ先の話ですが、いずれ取得して教える側にも回れればと思っています。
BLSプロバイダーコース受講の流れ
予約・教材準備
これらのコースは「トレーニングサイト」と呼ばれる場所で受講することになっています。
「トレーニングサイト」はいわば、大元のアメリカ心臓協会の暖簾分けのような感じで、その運営母体は様々のようです。
各トレーニングサイトでは開催日と定員が定められており、受講希望者は予め各運営母体に申し込みをしておく必要があります。
医師はもちろん、コメディカルの方からも需要の高いコースのため、直前の申し込みを試みるとすでに定員に達しているような場合もありますので、早めに日程と開催地を検索して予約しておく必要があるでしょう。
運営母体によっても異なりますが、受講料は結構お高めです。
予約が済んだら、持ち物を準備します。教材は自前で準備しなければならないので注意が必要です。
多くの場合、「テキスト」と「ポケットマスク(人工呼吸で利用)」の準備が必要となります。
当日トレーニングサイトで購入可能な場合もありますが、予習も必要ですし買っておくほうが無難でしょう。
あくまで講習ですので新品でなくても大丈夫ですが、テキストは最新の版を準備するのが好ましいでしょう。
予習
BLSプロバイダーコースには予習が義務付けられています。
すでにBLS講習やこれに準じた経験がある方は、上述した薄めのテキストを軽く流し読みしておくと良いと思います。そうでない方はある程度しっかり読み込んで各状況における対応をイメージすると良いでしょう。
当日の内容
BLSプロバイダーコースの場合、基本的に丸一日の講習となります。
基本的には受講者数名で1つのグループが作られ、各グループに「インストラクター」がついてくれる形です。
特段ディスカッション等を求められることはなかったように思います。私が受講した際のグループではインストラクターの方が気さくで楽しく受講させて頂けました。
内容としては「AHAによるビデオを見て学び、実際にやってみる」という流れの連続で、結構体を使った印象があります。丸一日というと長く感じますが、体を使ったせいか案外短く感じました。
従って、服装は動きやすいものが好ましいと思います。私が受講した際も、私服で動きやすいものを身に着けている方ばかりで、フォーマルや医療的な服装の方は皆無でした。講習の内容上、屈む姿勢となることが多いため、胸元は締まったものの方が良いかと思います。
成人・小児を対象とした心停止、窒息への対応やAEDによる除細動など、やはり1日かけるだけあって様々なシチュエーションでの蘇生法を学ぶことができ、大変勉強になりました。
BLSプロバイダー認定基準
実技と筆記の2点で評価されるようです。
実技については、実技実習の中で2度ほど実技試験の時間がありました。
試験と言ってもそれぞれ直前に学んだことを実際にやってみて、インストラクターの方からフィードバックをいただく形です。ちょっぴり緊張しますが、普通に参加していたら通過できるものだと思います。
実技が怪しいと当日「補習」という形で指導を受けるようですが、そのような方は私の回ではいらっしゃいませんでした。
講習の最後に筆記試験が行われます。こちらも講習を普通に受講していれば難しいものではありませんでした。というか、よくわかりませんが私の受講したトレーニングサイトでは「テキスト持ち込み可」でしたので、調べながら解答できました。
BLSプロバイダーコースを受講しましょう
目の前で人が倒れて119番通報した際、救急管制側にて心停止と判断されれば「胸骨圧迫=心臓マッサージ」を試みるよう求められます。
BLS講習の経験がない場合、
「やり方を学んだことがない私が下手に手を出したら、患者の容態をより悪くしてしまうかもしれない」
という気持ちから、心肺蘇生を躊躇してしまう方も少なくないようです。
心停止に陥った場合、素早く心肺蘇生を開始し、(必要なら)AEDによる除細動を行うことができるか否かが生存率を大きく左右します。
身の回りの大切な人の命が危ぶまれる状況は誰にでもあり得ます。そんな時、救急隊または医療者に引き継ぐまで適切な蘇生を提供し、生存可能性をできるだけ高められることが理想です。
そのためにも、BLS講習は誰もが受講しておくべきものだと思いました。(義務教育に取り入れられたら良いのに・・・)
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